m_pheno曰く

m_pheno(もふぇの)の告知やひとりごと

2016年を振り返る 音楽編

新譜のみ、聞いたもののみ、それなりに気に入ったもののみサックリとまとめていく。iTunesで年別ソートして出てきた順に。

 

東京スカパラダイスオーケストラ - The Last~Live~

 ほとんどアジカンコラボしか聞いていないが、これが素晴らしいのだ。コラボ曲の"Wake Up!"もさることながら、ホーン隊のアレンジにより豪華になった“遥か彼方”は必聴ものだ。

僕は元吹奏楽部ということや、フィッシュマンズのドラマー茂木欣一(尊敬しています)が参加していることからたまにスカパラは聞いていたのだが、やはり盛り上げ方とノれるビートづくりは非常に上手い。彼らのアレンジ“ルパン三世のテーマ’78”は好きだったのでライブでもやっていて嬉しい。また甲本ヒロトともコラボしてくれたら嬉しい。

ところでこのアルバム、ジャケットが最高。

 

鷺巣詩郎/伊福部昭 - シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

 

 なぜかiTunesになかったのでAmazonのリンクで。やっぱりCDで聞けという事か。

映画の内容がフラッシュバックしてきて聞いていて異様な高揚感に包まれる。電車に乗るときはもちろん"宇宙大戦争マーチ"や”Under a Burning Sky ~"を聞いている。また別記事で触れるつもりだが、鷺巣詩郎伊福部昭に全面的に勝負を挑んでいるような気がして面白い。サントラではあるが普通に楽曲として普段聞いていられるのも良い。こと話題になった「エヴァティンパニのアレ」こと"EM20"も様々なバージョンが使用・収録されており、特にボーナストラックでロング版が2アレンジ連続で流れる使用は感動した。Jerry氏のドラムアレンジはスリップノートの多用によるトリッキーさが癖になるし、alternaと名のついた3つのアレンジはどれも「オルタナだ!」と劇場で聞きながらワクワクしたものだ。『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』に収録されていたオルタナアレンジも相当好きだったが、あれに並ぶ好みとなった。あちらはドラマーが山木秀夫氏だった記憶があり、Jerryとは異なる独特のドラムになっているので聞いてほしい。

また鷺巣詩郎本人によるライナーノーツが映画資料としても面白いので映画ファンなら間違いなく買だろう。長くなったのでまた今度これについては書こう。

 

Yuck - Stranger Things

 3rdアルバムにしてメンバー変更後2枚目。

メンバーが変わってから賛否両論あるが、こちらもきちんとオルタナインディーロックとして十分な質の良さを感じると思っている。1stのシューゲイザーかと勘違いするほどの歪んだギターの海にローファイなパワー感はないかもしれないが、彼らにしかないサウンドはあるはずだ。まだ過去のバンドにするには惜しい。

 

The Pop Group - Honeymoon on Mars

Honeymoon on Mars

Honeymoon on Mars

 ポストパンクの大御所の新譜である。

"Y"や"Citizen Zombie"あたりしか聞いていなかったからか、電子音中心になっていたのには驚いた。しかしこのディレイのダブっぽさなどのボーカルの変化球は相変わらずであり、彼らもいろいろなことに挑戦してきたのだろうなあという感想を持った。P.I.Lとは異なるアプローチで面白い。

 

Pixies - Head Carrier

 バンドキッズの永遠の憧れ、Pixiesも新譜を出している。

こいつらいい曲しか作らないのマジ何なんだよ!!!!!!!!!!!と本当に叫びたくなる。爆速爆音ソングから切ないミドル/スローな曲までひとつのアルバムに全部入れてくれるのは本当に素晴らしい。コンスタントにいい曲ばかり作る姿勢も含め、バンドマンは一生Pixiesのトリコであることを証明されてしまった感覚である。

 

トクマルシューゴ - TOSS

 宅録ミュージシャンの偉大なる先輩の新譜は、バンドサウンドをメインに使用したものだ。

Deerhoofのドラマー、グレッグ・ソーニアやトリプルファイヤーの鳥居さんなど個人的に好きなミュージシャンとコラボしてくれたのが本当に嬉しい。モノとしてCDを持つことに喜びを感じられるような仕掛けづくりは見習う部分がある。今回もチャレンジ精神が異様に豊富で、ギターソロやオーケストラといったインスト曲、バンドセッションをまるでブレイクビーツを作るように分解・再構成する手法、工事現場の音や明和電機の製品をふんだんに使用など、まず常人では思いつかないし思いついてもできないことをふんだんにやってのける様は流石だ。

 

THIS IS JAPAN - DISTORTION

DISTORTION

DISTORTION

 大学に入ってから追いかけ続けたバンドがとうとうApple Musicで聞ける時代になった。

日本のオルタナロックはこうだ!というイメージをそのまま形にして臆せずぶつけてくる姿勢は本当に好きだ。公言しているようにPixiesXTCに憧れ、ナンバガを聞いて育ったバンドマンのサウンドだ。“カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか”は歌詞のインパクトもあるが本当に名曲だと思う。

 

Deerhoof - The Magic

The Magic

The Magic

 最高である。彼らの日本公演に関するアツすぎるブログを本名で書いたので是非読んでいただきたい(クソ長いが)。

hissori – Deerhoof日本公演についての覚書―何でもいいからいたずらを―

もう好きすぎて何を書いたらいいかわからない。前作"La Isla Bonita"がバンドのパンクサウンドを前面に押し出したものだったためか、もっと広範囲に手を広げた、彼らの魅力でもあるフットワークの軽さが生きた一枚になったと思う。一曲目なんてサビ部分だけThe 1975みたいで驚いた。また日本に来てほしい。できればフジロックで。

 

D.A.N. - D.A.N.

D.A.N.

D.A.N.

  • D.A.N.
  • エレクトロニック
  • ¥1800

 今一番フレッシュなバンドではないだろうか。オウガに地続きの、空間的な音作りが印象的なサイケサウンドである。

とても好き、と言うわけではないのだがなぜか気になってしまう、不思議な魅力のあるバンドだ。彼らの様な洋インディーに強く影響を受けたバンドも増えてほしいし、同時にロックンロールを真っ向からぶん殴るようなバンドの登場も心待ちにしている。

 

The Strokes - Future Present Past EP

 前作"Comedown Machine"から3年、たった三曲だがすべてかっさらっていくような格好よさである。

内容はいつも通りと言ってしまえばそれまでなのだが、それ故に「The Strokesにしか出せない格好よさ」がすべて詰まっているような気がする。やっぱりずるい。これを機にか、ライブもしているようなのでまた来日して欲しい。ぜひともフジロックで。本当に来てくれ。

 

ザ・クロマニヨンズ - BIMBOROLL

BIMBOROLL

BIMBOROLL

 

 データ販売しないのを忘れていた。男のモノラル録音、男のアナログ主義。

しかしまた恐ろしくカッコいいものを出されていた。ほんとうにカッコよくてニヤニヤしながら痺れっぱなしで聞いていた。マーシーは“ペテン師ロック”でパワーコードだけを弾く職人の様ないぶし銀を見せたかと思えば“ピート”では本当にピート・タウンゼントの様なフィードバックノイズ交じりの大暴れを見せる。というか、そう、“ピート”なのだ。前回の記事(下記参照)の通り、2016年公開の映画『聲の形』のオープニングはThe Who "My Generation"である。

m-pheno.hatenablog.com

 そしてその直後、甲本ヒロトは“ピート”という曲を書き〈おお マイ・ジェネレーション〉と歌っているのだ。なんたる偶然だろうか。これも両方を経験した、かつThe Whoに憧れた僕のような人にしか起こりえない短絡だが、感動のあまり泣きそうにさえなってしまった。ヒロトマーシーはアーティストでありつつも、聞き手としての感性を一切失っていないと思わせられる曲である。そして、甲本ヒロトが「ピート!ピート!」とこの曲でコールするように、僕らは「ヒロトヒロト!」と叫ぶのだ。そうだよな、〈だからいますぐ ピート そのギブソンで ピート ぶっ壊してくれ 僕の部屋〉って思いながらCDプレイヤーを横に置いて思ってたよな。

 

くるり - くるりの20回転

 「ここ最近の日本のポップミュージックの歴史を探るなら、歌モノは宇多田ヒカルを、バンドはくるりを聞き考察するといい」という話をどこかで聞いた覚えがある。どちらもジャーナリスト宇野維正氏が本を出版しており、それを読むと日本全体の音楽界隈が見えてくる、と。その真偽や信用性のほどはわからないが、くるりは少なくともそう言われるような大御所バンドである。その20年間を追ったこのベストアルバムと言えば非常に価値があるものではないだろうか。

まあ正直音楽シーンの歴史は興味こそあれどもどうでもよくて、ベストアルバムとして非常にいい作品だと思う。過去二作、特に後になって出した『ベスト・オブ・くるり2』は普通にアルバムとして流れが完成されていたが、こちらはベストの名に付随する記念碑的な要素が強いと感じる。バンドサウンド中心だったり、電子音をふんだんに使ったりと様々なサウンドの変遷があったが、今までの各アルバム、各期のくるりのモードが通して聞けるのはとても面白い。そして当然ながら、どんなサウンドを用いても飛びぬけたメロディセンスだけは一貫していて、素直に凄いと感心してしまう。ユーミンとのコラボ“シャツを洗えば”や岸田さんが愛する京急線を歌った“赤い電車”、そして新曲の“琥珀色の街、上海蟹の朝”など、名曲揃いだ。いつどの曲を聞いても名曲が出てくる、そんな素敵なアルバムだと思う。

 

karashigoroshi - 自戒とともに - EP

自戒とともに - EP

自戒とともに - EP

  • karashigoroshi
  • ロック
  • ¥1350

 バンド・カラシゴロシが解散し、ボーカル堀田さんがソロとしてkarashigoroshi名義を用いて満を持して出すEP。

バンド編成時のようなギターを弾き倒しながら歌う狂気じみた感覚はなくなったが、いまどきこれだけストレートな曲をバンドサウンドでやる人は少ないのではないだろうか。メロディのポップさに癖になる力の抜けた歌、そしてギターの驚異的なうまさは健在である。ちょっと歌詞が幼い気がしてしまうが、今後も楽しみになる音源だった。応援しています。

 

オワリカラ - ついに秘密はあばかれた

 我らが大先輩、サイケデリックでファンキーなロックバンド、オワリカラのメジャーデビューアルバムだ。

 正直“ドアたち”でこのバンドは完成してしまったと思っていて、それ以降は確かにいい曲なんだけどそれだけ、という印象だった。しかしこのアルバムは久々にオワリカラに驚かされた。“今夜のまもの”や“へんげの時間”といった彼ららしい聴きやすくもフックのある曲はまさしく代表曲になったと思う。何よりラスト一曲、“new music from big pink"には痺れた。まだこんなヘンテコだけれども少年の心を揺さぶるような曲を書いてくれることに感謝である。同サークル出身であり僕が最も敬愛するバンド、SuiseiNoboAzと同じ匂いと言うか、地続きの何かを感じた気がする。ぜひライブハウスで、アホみたいにでかい音で聞きたいものだ。

ところでボーカル・タカハシヒョウリは科学特奏隊という特撮カバーバンドをやるほどの特撮オタクであり、『シン・ゴジラ』を公開初日、初公開の深夜とそのあと続けて一度、つまり最速で二回見たのちに即行でブログを書き話題になった。

これよりシン・ゴジラ超ネタバレ10000字の儀を執り行う! | Em

特撮オタクとして、「過去から」の考察であることに留意せねばならないが、非常に面白い『シン・ゴジラ』論であり、僕がゴジラを語ろう!と思ったきっかけの一つになっていたりもする。個人的には先日の記事で紹介したような、「今の」、短絡と筆者の実存がふんだんに含まれた考察の方が好きなのだが、こういったオタクにしかできない見方もできてしまうのがこの映画の素晴らしいところである。オワリカラと科学特奏隊、どちらのバンドも応援していきたい。

 

OGRE YOU ASSHOLE - ハンドルを放す前に

 クラウトロックの流れを汲む日本のサイケバンド、所謂3部作とライブテイクのアルバムを終え、セルフプロデュースによる新譜。

これまでが非常にコンセプティブだったためか、非常にリラックスして曲作りができたことがうかがえる内容になっている。しかし反対に音数と手数は極限まで削られ、音像は緊張感あふれるものになっているのが対照的で、同時にリラックスと緊張を味わえる不思議なアルバムだ。明らかにゆらゆら帝国っぽい曲があるのもニヤリとさせられる。また、ボーカルが以前の作品と比べ強調されたミックスになっているのも面白い。曲によってはダブ処理されていないパートまであったりする。ひとつの武器としてボーカルを使えるようになったということかもしれない。このアルバムの曲をライブでやったらどうなるのか、聞きたくて仕方がない。とにかく、一枚のアルバムを通して聞くだけで色々な感情を抱くような、不思議なアルバムであった。

 

Wilco - Schmilco

 オルタナの雄にして唯一無二のスタイルを持つモンスターバンド、前作"Star Wars"から一年と空けず続けてのリリースである。Pixiesといい彼らといい、何でいい歌しか作らないんだよ。おかしいだろ、反則だろ。

"Star Wars"がロック色の強いアルバムだったからか、こちらはフォークに寄っている気はする。しかしWilcoにしか使えない摩訶不思議な魔法、彼らそのものがオルタナであると言わんばかりの魅力はみっちりと詰まっている。曲の良さに関してはさんざん語られていると思うので言うことはない。個人的に今回も曲名が好きだ。"We Aren't the World (Safety Girl)"なんてそろそろ怒られるんじゃないだろうか。もっとやってくれ。去年はフジロックでなかなかの前列で見ることができ非常に幸せであった。また見れることを祈っている。

 

Iggy Pop - Post Pop Depression

 かつてThe Stoogesを率いた大御所パンクおじさん、ローファイ/インディーロックを制する。

昨年亡くなったデヴィッド・ボウイの盟友でもあるイギー・ポップは音楽性も似ており、メロウでロマンティックな部分が共通の武器だと思っている。そして今作ではその武器に加えてなんでもアリのオルタナ性、ローファイでインディーロックに通じる身近さのようなものを感じた。"German Days"はテンポも拍もめまぐるしく変わる展開を見せ、"Vulture"では彼らしいメロウさとハードロック的なナイーブさが時に暴力的にかき鳴らされる。正直、彼のソロ名義では一番好きだ。ひたすらカッコいい。痺れる。それに尽きる。

 

YeYe - ひと

ひと

ひと

  • Ye Ye
  • J-Pop
  • ¥2000

 元祖宅録女子(だと勝手に思っている)YeYeの新譜は、ほどよく海外のシーンに影響された現代的な一枚と言えるだろう。

MVも公開されリードトラック的な扱いをされている"ate a lemon"に象徴されるように、海外のインディーシーン、特にベッドルームミュージックへの憧憬を強く感じる。同時に、“ほし と にし”や“のぼる、ながめる”のような日本語の心地よさを活かす曲もあり、ちょうどいいバランスを保っているのではないのだろうか。あとMVはどれもひたすらYeYeがかわいいので見たほうがいい。恋ダンスのガッキーがかわいいのはわかるがそれよりYeYeを見ろ!!しかも曲もいいぞ!ともかく、ただのシンガーソングライターに終わらない、チャレンジ精神に満ち満ちたDIY的な曲作りも極められてきたな、という印象である。後に述べるがゴッチのソロ活動に一番インディー方面から良い影響を与えているのは彼女ではないだろうか。アジカンやゴッチのファンなら聞くべきであろう。

 

あらかじめ決められた恋人たちへ - After dance/Before sunrise

インストダブバンド、通称あら恋の豪華ゲスト満載の新譜。 

このバンドはDalljub Step ClubのドラマーGOTOが加入したことから聞き始めたのだが、彼が採用された理由がよくわかる。リズムへの感覚がとても鋭いのだ。時折シューゲイザーのような激しい音像も持ちながら、メインのメロディが抒情的な鍵盤ハーモニカという特殊なバンドだが、「ダブ」という言葉を使うだけあってリズムは非常に冴えている。エフェクティブなサウンドに埋もれないエッジの効いたドラムは、当然レゲエの要素も含みながらエレクトリックな、テクノのような感覚も併せ持っていて聞いていて飽きない。レゲエはそこまでハマれないのだが、これは本当に面白くてずっと聞いていられる。

 

Tyondai Braxton - Oranged Out E.P.

Oranged Out E.P.

Oranged Out E.P.

 元Battlesの頭脳、そして今は現代実験音楽の最先端を行く”名前がクソ格好良いミュージシャン”タイヨンダイ・ブラクストンの新譜はテクノ/エレクトロニックだ。

前作"HIVE1"でパーカッションと電子音楽を絶妙に融合させた彼だが、今作はさらにそれを消化しエレクトロニックとして完成させたものだと感じる。一応は現代音楽の文脈で語られる彼だが、テクノとして普通に聞けるポップさも兼ね備えているところは非常に好感が持てる。今後もこの鬼才が我々を驚かせてくれるだろう。

 

RAT BOY - GET OVER IT - EP

 ヒップホップとインディーロックという意外と見ない組み合わせを実現してしまった弱冠20歳の鬼才。

たまにThe Libertinesみたいなギターが顔を覗かせたり、かと思えば(ほとんど僕が通っていないせいであまり語れないが)ヒップホップ的な基盤がしっかりと整っていたりと、なかなか刺激的なサウンドで楽しませてくれる。今作はヒップホップ寄りの印象なので今度はインディーロックにもっと触れてくれると嬉しい。

 

Gotch - Good New Times

Good New Times

Good New Times

  • Gotch
  • J-Pop
  • ¥1800

 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、ゴッチこと後藤正文のソロ2ndアルバムである。今回は前作のライブツアーに同行したバンドをGood New Timesと名付け、元Death Cab for Cutieのクリス・ウェラのプロデュースのもと作成という豪華な内容となっている。

このゴッチという奴は、僕がやりたいことをことごとく先にやってしまうたちの悪い男だ。アジカンで僕の青春を定義づけるようなロックンロールをやってのけながら、一方でローファイな洋インディーシーンに目配せしたポップソングをできる環境にあるというのは、実にずるい。2ndにしてとうとうファズまで踏みやがった。1stほどのフックある名曲的なインパクトはないが、全編通して確実に質が上がり、クリスのおかげか音がとにかく良くなり、名リフも多く登場した。ソロ活動で他の欲望を発散しているおかげか、アジカンはよりソリッドなパワーをむき出しにしているのでバンド・個人共々良い影響を与えていると考えられる。どちらもまだまだ僕を楽しませてくれるだろう。

 

FISHMANS - LONG SEASON '96~7 96.12.26 赤坂 BLITZ

 1999年に亡くなったボーカル佐藤氏が存命だったころのライブテイクを引っ張ってきたアルバム。

レゲエ・ダブが基盤となっているため、本来リラックスして踊れるような音楽になるはずである。確かにノリは最高だし踊れるのだが、録音越しにもビシバシと伝わってくる緊張感は息が詰まりそうになる。所謂「世田谷三部作」以前の曲、“なんてったの”なども当時のモードで再編曲されておりこれも面白い。そしてこのCDは2枚組なのだが、2枚目はあの驚異の長尺曲"LONG SEASON"がそのほとんどを占めている。時間にして40分4秒、このロックソングにしては長すぎる曲を、緊張感をまったく切らすことなく演奏してのける驚異の集中力とグルーブ感は彼らにしか成し得ないことだったろう。今これが完全オリジナルなメンバーで聞けないことが本当に悔やまれる。昨年実施されたらしい再現ライブは素晴らしかったという。またやってくれないだろうか。

 

BOOM BOOM SATELLITES - LAY YOUR HANDS ON ME - EP

 ブンサテ解散音源として発表され、それからほどなくしてボーカル川島道行氏は度重なる脳腫瘍との闘病の末、亡くなった。

最後に「最後の一枚」としてこの音源を生きているうちに出せたのは本当によかったと思う。死人はバンドできないから。曲はエレクトロ中心、すべて希望や祈りを感じる様な曲調だ。私事ではあるが、去年の夏にサークルでブンサテのコピーをやった。やると決めたときは解散など知る由もなく、期せずして感情的な演奏をすることになってしまった。あのタイミングでコピーできて本当に良かったと思う。2016年は色々なミュージシャンが亡くなったが、個人的には川島さんの死が一番堪えた。天国でもどうか歌っていてほしい。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION - ブラッドサーキュレーター

 シングルで申し訳ないが超カッコいいので紹介させてもらう。

"Wonder Future"で骨が見えるほどそぎ落としたソリッドでラウドなロックを出しつくし、その延長で"Right Now"を出したうえでの本作は、また違うモードに突入した感覚だ。今作から再び中村佑介のジャケットに戻ったこともそれを表すだろう。ショートディレイの効いたアジカンらしさ爆発のリフとパワーコード、アレンジが変わっていく展開、抜ける様なサビのメロディ、ブリッジから明るく駆け上がるような終盤の展開、どれもこれもアジカンが得意なロックンロールだ。まるで初心に立ち返ったかのような潔い曲だが、同時にこれから出てくるであろうロックバンドに「これが日本のロックだ」と手本を見せる様な、先駆者としての意地と誇りと男らしさを感じる。シンプルにカッコいい。ディストーションで殴れ。それがロックだ。カップリングがまたもやギターの建さんがボーカルの曲なのも嬉しい。まだアナウンスさえないが、次の新作アルバムが楽しみだ。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION - ソルファ(2016年再レコーディング版)

 2016年の年間ベストを問われたら間違いなくこれだと答える。出世作である"リライト”を擁する”ソルファ”が、今の音になって帰ってきた。

正直、これに関しては言いたいことが多すぎるのでまた何かしらの形で語らなければならないと感じている。そのため軽く触れるにとどめるが、あの時リライトを聞いた人、アジカンが好きだったけれど最近聞いていない人、いつかアジカンを聞いて影響を受けたバンドマンやバンド好き、青春にアジカンが組み込まれた人、そして当然ずっとアジカンを追いかけた人、そのすべてに聞いてほしい。これはベストアルバムよりもベストアルバムらしい、アジカンからリスナーへのプレゼントのような、宝箱の様なアルバムだ。成長したアジカンの覚悟、大人になった―あるいはなろうとしている―彼らの最高傑作だ。ぜひCDショップに行き、モノとして買って、CDプレイヤーを引っ張り出して聞いてほしい。僕はそうして泣きながら聞いた。

 

Aphex Twin - Cheetah EP

Cheetah EP

Cheetah EP

 テクノ界の重鎮であり謎の男、リチャード・D・ジェームスことAphex Twinの最新作にして話題作。

シンセサイザー広告風の告知、渋谷をジャックしてのMVの放映、そのMVもファンの子供Youtuberが制作、そして使用されているシンセサイザーは最もプログラミングが難しいとされるレアな一品……話題性には事欠かない一枚ではあるが、内容はクラシカルで暖かい音像の直球テクノだ。狂気じみた細かい打ち込みのドリルンベースや、コンピュータ制御でアコースティック楽器を鳴らすといった偏執ぶりはなりを潜め、変な機材を使いこそすれどもそこからシンプルにいい音を鳴らすという大御所らしい一枚だ。ジャケットのデザインが良くて非常にTシャツ映えするのが個人的に気に入っている。一枚欲しい。そしてどうやらライブ活動も再開したらしい。今後の動向が気になるところだ。

 

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一応こんなところだ。思ったよりも新譜を聞いていたらしい。ほかにもWeezerRed Hot Chili PeppersNew Order、Bon Iver、MONO、Group Love、KULA SHAKERなんかも新譜を出していて大御所勢揃いといった趣だ。またOasisやザ・タイマーズのリマスター版が出たりもして、何かと話題の多い年だったと思う。個人的にはアジカンザ・クロマニヨンズという青春を捧げた二大バンドが最高傑作をリリースしてくれたことに感謝している。The Avalanchesの新譜がまだ買えていないこと、そして昨年見た映画のサントラも買えていないことも心残りである。そのうち絶対買う。

今年は誰がどんな音源を出すのか楽しみだ。できれば好きなものはApple MusicではなくCDで手に取りたいものだ。